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[Blender 2.8] 細分化した緻密なメッシュもまとめて変形 [ラティスモディファイアー]

[Blender 2.8] 細分化した緻密なメッシュもまとめて変形 [ラティスモディファイアー]

[Blender 2.8] 細分化したオブジェクトもまとめて変形するのに便利な、ラティスモディファイアーの機能と使い方のご紹介

今回の記事は、Blenderで、メッシュを変形するのに便利な『ラティスモディファイアー』についてです。

この『ラティスモディファイアー』が変形可能なオブジェクトは、『メッシュ』、『カーブ』、『サーフェス』、『テキスト』、『ラティス』、さらには『パーティクル』と幅広く、とても使い勝手が良いモディファイアーです。

もちろん、今回のモディファイアーを用いなくても、普通に[編集モード]から頂点や辺、面を直接変形することも出来ますが、こちらの『ラティスモディファイアー』を使用する場合、「変形の仮置き」や、「まとめて変形」、「変形の使い回し」といった事が出来るのです。

つまり、例えばまっ平な平面の状態のメッシュに、モディファイアーを介して仮の変形を設定し、「どんな形に変形してその結果どんな印象になるのか」を直接の変形をする前に見ることが出来ます。

ある程度ポリゴン数の多いメッシュなどを変形する場合には、このモディファイアーを使って複雑に入り組んだ形状のメッシュをまとめて変形するという事も出来ます。

Blender ラティス モディファイアー 立方体 3DCG モデリング ペアレント 平面 変形 顔
人間モデルの顔を成形する時の『ラティス』の使用例

また、一つのオブジェクトでこのモディファイアーを使って設定した変形の仕方があるとします。変形の仕方を決めた『ラティス』オブジェクトを別のオブジェクトにも関連付け(ペアレント)してしまえば、2つのオブジェクト間で変形の使い回しが出来る訳です。

是非とも知って、そして使いこなして頂きたいモディファイアーですので、なるべく分かりやすくご紹介していきます。

※2020年5月26日 加筆修正を行いました。
※2020年5月27日 加筆修正を行いました。
※2020年7月19日 加筆修正を行いました。

目次

準備

Blender ラティス モディファイアー 3DCG モデリング

『ラティスモディファイアー』を追加したいオブジェクトを選択しておき、[プロパティエディタ]>[モディファイアー]>[モディファイアーを追加]で表示される一覧から、[ラティス]という項目を選びます。

Blender ラティス モディファイアー 3DCG モデリング

基本的な使い方

『ラティスオブジェクト』は当ブログでは初出ですし、その事も兼ねてこのモディファイアーの基本的な使い方をご紹介します。

  1. まずは変形する対象を用意します。今回は「葉っぱ」型の平らなメッシュを用意しました。
Blender ラティス モディファイアー 葉っぱ 平面
葉っぱ型の『平面』オブジェクト
  1. 対象に合わせたサイズの『ラティス』オブジェクトを用意します。だいたい葉っぱのメッシュ全体を覆えるくらいの大きさ・位置にしておきます。
Blender ラティス モディファイアー 葉っぱ 平面
葉っぱ型の『平面』と『ラティス』
  1. [プロパティエディター]>[オブジェクトデータプロパティ]で、ラティスオブジェクトの分割数を決めます。今回は[U: 5]、[V: 7]、[W: 2]としました。
Blender ラティス モディファイアー 葉っぱ 平面
『ラティス』の解像度を変更
  1. 「変形したい対象のオブジェクト」→「ラティスオブジェクト」の順で選択し、『ペアレント対象メニュー([Ctrl]+[P])』>[ラティス変形]で関連付けます。(『ラティスモディファイアー』から関連付ける方法でも構いません)
    ※このショートカットキーを使えば、準備は必要ないです
Blender ラティス モディファイアー 葉っぱ 平面
[ペアレント対象]メニューから[ラティス変形]の設定
  1. [編集モード]へ移り、ラティスオブジェクトの頂点を動かし、変形させます。すると、関連付けたオブジェクトも同様に変形します。
Blender ラティス モディファイアー 葉っぱ 平面
『ラティス』を使って『メッシュ』を変形

memo: 『ラティス』と「変形対象のオブジェクト」のペアレント設定をする時に便利なショートカット

「基本的な使い方」でもご紹介した方法なら、わざわざ[モディファイアーを追加]から『ラティス』とのペアレントしなくても、ショートカットが行えます。

その他にも、[オブジェクトモード]の時に「ラティス変形したいオブジェクト → ラティスオブジェクト」の順に選択し、

Blender ラティス モディファイアー 葉っぱ 平面
『平面』と『ラティス』

その後に、『ペアレント対象メニュー([Ctrl]+[P])』>[ラティス変形]で、『ラティスモディファイアー』に『ラティスオブジェクト』をセットした状態にすることも出来ます。

Blender ラティス モディファイアー 立方体 3DCG モデリング ペアレント
[オブジェクト]>[ペアレント]>[ラティス変形]

他の何かのショートカットキーを忘れてしまった場合でも、大抵こちらからも探せば行えること思い出せれば、何とかなるのではないかと思いますので、豆知識として覚えておくのをオススメします。

[ラティス]の詳細設定項目一覧

[オブジェクト(Object)]

変形を規定するのに使用する『ラティス』オブジェクトを設定します。

Blender ラティス モディファイアー 葉っぱ 平面
[オブジェクト]

[頂点グループ(Vertex Group)]

オプションとして使う『頂点グループ』の名前を設定します。この項目に設定した頂点グループの[ウェイト]値によって、モディファイアーから受ける影響をメッシュの一部に制限できます。

例えばこんな感じにウェイト値を割り当てた頂点グループを作成するとします。

Blender ラティス モディファイアー 葉っぱ 平面 頂点グループ
『頂点グループ』を作成

それを[頂点グループ]に設定すると、↓のようになります。

Blender ラティス モディファイアー 葉っぱ 平面 頂点グループ
[頂点グループ]設定

『頂点グループ』について、以前詳しく取り上げた記事がございますので、よろしければ合わせてご覧ください。

[強さ(Strength)]

「元の頂点位置」と「変形後の頂点位置」の間でブレンドするための係数を設定します。

Blender ラティス モディファイアー 葉っぱ 平面
[強さ]の値を変化

おまけ: 作ってみた物

今回このモディファイアーを調べていて、『パーティクル』や『ラティス』にも使えるという事で作ってみたものになります。

ちなみに、『パーティクル』について、詳しくは下記記事をご覧ください。

  1. 『平面』メッシュオブジェクトを、(3, 3, 0)、(3, -3, 0)、(-3, -3, 0)、(-3, 3, 0)の4か所にそれぞれ設置します。スケーリングや回転等は行いません。
Blender 平面 3DCG モデリング
4つの『平面』を設置
  1. [プロパティエディター]の方で、4つの『平面』に、同一の[パーティクルシステム]を追加しておきます。[エミッター]にしておいてください(詳細設定は後でします)。
Blender 平面 パーティクル 3DCG モデリング
4つの『平面』を[パーティクルシステム]の[エミッター]として設定
  1. それぞれの『平面』の上に生やすように、『ラティス』をこれも4つ、それぞれの位置に配置します。スケーリングは、[寸法]が[X: 2m]、[Y: 2m]、[Z: 20m]になるまで拡大してください。解像度は[U: 3]、[V: 3]、[W: 20]にしました。
Blender ラティス モディファイアー 平面 3DCG モデリング
4つの『平面』の上に4つの『ラティス』
  1. トップ(上)からの視点に切り替えて(テンキー[7])、[編集モード]へ切り替え([Tab])、それぞれの『ラティス』をZ軸回りで180度程回転させます。
Blender ラティス モディファイアー 平面 3DCG モデリング
『ラティス』をZ軸周りで180度回転させて捩っておく
  1. それぞれの『平面』の上にある『ラティス』へ、[ペアレント対象]メニュー([Ctrl]+[P])>[ラティス変形]で、ペアレントしておきます。選択するのは、『平面』→『ラティス』という順番です。これが逆になってしまうと、関係の親と子が逆になってしまうので気を付けてください。
Blender ラティス モディファイアー 平面 3DCG モデリング
『平面』に『ラティス』への[ペアレント対象]メニュー>[ラティス変形]
  1. その後、4つの『平面』、4つの『ラティス』を包むように、更にもう1つ『ラティス』を追加します。こちらの寸法は、[X: 8m]、[Y: 8m]、[Z: 20m]。解像度は、[U: 5]、[V: 5]、[W: 10]に設定しました(画面が見づらかったので背景を若干暗めの緑色に変更しています)。
Blender ラティス モディファイアー 平面 3DCG モデリング
4つの『平面』と4つの『ラティス』を覆うようにもう1つ『ラティス』を追加
  1. 『平面』にペアレントした『ラティス』に、最後に追加した大きな『ラティス』へ[ラティス変形]のペアレントを行います。細長い『ラティス』→大きな『ラティス』という、選択する順番に気を付けてください。
Blender ラティス モディファイアー 平面 3DCG モデリング
4つの細い『ラティス』に大きな『ラティス』への[ペアレント対象]メニュー>[ラティス変形]

ちなみに、全体的な親子関係を図にするとこんな感じになります。

ペアレント 関係図
5つの『ラティス』と4つの『平面』のペアレントの相関図
  1. 大きな『ラティス』を、Z回りで720度回転させます。
Blender ラティス モディファイアー 平面 3DCG モデリング
大きな『ラティス』をZ軸周りで720度回転

大きな『ラティス』を非表示([H])にして、細長い『ラティス』の形状がこんな感じにぐるぐるしているなら成功です。

Blender ラティス モディファイアー 平面 3DCG モデリング
『ラティス変形』された細長い『ラティス』
  1. これはおまけなのですが、パーティクルを跳ね返すための屋根を取り付けます。『平面』オブジェクトを追加して、寸法をX,Yそれぞれ20mになるように拡大し、位置は[Z:20m]程に設置します。[編集モード]へ移り、頂点を全選択し、1回だけ細分化させて、真ん中の頂点を上の方向に、四隅の頂点を下の方向に歪めておきます(この屋根の形によってパーティクルの跳ね返り方が変わって面白いですので、色々試して遊んでみて下さい)。形成出来たら、パーティクルへ障害物と判定させるために、[コリジョン]を追加しておいてください。
Blender ラティス モディファイアー 平面 3DCG モデリング
『平面』を屋根のように取り付ける
  1. 仕上げに、[パーティクルシステム]の詳細設定ですが、その前に、1つ、『パーティクル』にする用のオブジェクトを用意します。何でも好きな形にして良いのですが、私の場合は、『円』オブジェクト(という名の六角形)を用意しました。
Blender 円 六角形 3DCG モデリング
『円』オブジェクトを追加[頂点: 6]、[フィルタイプ: Nゴン]に設定

その『マテリアル』として、[輝度:100]に設定した[輝度/コントラスト]ノードで[輝度:100]を[放射]に繋いだものを割り当てました。

Blender シェーダーエディター マテリアル 3DCG モデリング
『円』に割り当てた『マテリアル』
  1. [パーティクルシステム]の詳しい説明は省きます。各項目で触ったところだけ赤枠で囲っておきました。
Blender パーティクルシステム プロパティエディター 3DCG モデリング
[パーティクルシステム]の設定
  1. 最後に、パーティクルの軌道が変わる仕組みなのですが、細長い『ラティス』の『ラティスモディファイアー』の[強さ]を変えて、キーフレームを打っているだけです。
Blender ラティス モディファイアー 平面 3DCG モデリング
『ラティスモディファイアー』の[強さ]の値で[キーフレームを挿入]([強さ]の上で[右クリック])

[フレーム: 1]の時に[強さ: 0.0]、[フレーム: 150]の時に[強さ: 1.0]という風にアニメーションするように設定しました。

Blender ラティス モディファイアー 平面 3DCG モデリング グラフエディター
『ラティス』の[強さ]を変えて捩れが加わるようなアニメーション
  1. 後は[背景]を真っ黒に変えてレンダリングすれば完成です!
Blender ラティス モディファイアー 平面 3DCG モデリング レンダリング ワールド 背景
[背景]を黒くして[レンダービュー]表示すると真っ暗な中に浮かび上がるパーティクルの渦

アイキャッチ画像のものを別角度から見た物です。形状からお分かりの通り、『立方体』オブジェクトに細長い『ラティス』への『ラティス変形』のペアレントをして変形しまして、着色したものになります。

Blender ラティス モディファイアー 立方体 3DCG モデリング

マテリアルの設定はこんな感じでした。

Blender シェーダーエディター マテリアル 3DCG モデリング

更にちなみになんですが、今回初めて『コンポジターエディター』を使ってみまして、そのノードはこんな感じでした↓ [レンズ歪み]を操作するのが特に面白くて、お気に入りの表現になりました。

Blender composite コンポジット コンポジターエディター 3DCG モデリング
『コンポジターエディター』

参考にさせて頂いたサイト・ページ一覧

参考にさせて頂いた書籍

モディファイアー関連の記事のご紹介

この記事の他にも、Blenderの様々なモディファイアーについて、機能や使い方を私自身も試しながらではありますが、ご紹介させていただいております。よろしければ、こちらも併せてご覧ください。

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